アンケート調査データ
- アンケート調査名全国の地方自治体のインバウンド施策の現状と課題―外国人観光客をめぐる自治体職員の期待と悩み―
- アンケート調査実施企業株式会社JTBコミュニケーションデザイン
- アンケート調査対象者地方自治体でインバウンド業務に携わる公務員
- アンケート調査人数515人
- 配信日2024年9月26日 14時30分
アンケート調査の概要
本アンケート調査は、JTBコミュニケーションデザインがワーク・モチベーション研究所に委託し、全国の地方自治体でインバウンド業務に従事している公務員515名を対象に実施されました。調査では、インバウンド施策の実施状況やその効果、課題を把握することを目的としています。調査対象者は、地方自治体に勤務し、インバウンド施策を担当する職員であり、都市圏勤務206名、都市圏外勤務309名の構成になっています。この調査により、日本の観光業の現状を反映する貴重なデータを収集しました。
調査は、外部のリサーチ機関を介して行われ、匿名性が保たれる形で実施されています。回答者は、インバウンド業務に対する期待や悩み、実際の施策の内容について自由に意見を述べることができました。このようにして、現場の実情をより具体的に把握し、効果的なインバウンド施策の改善や新たな施策の立案に役立てることが期待されています。
アンケート調査の結果
調査の結果、主に以下の8つのポイントが浮かび上がりました。
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期待される経済的メリット: インバウンド施策によって観光名所、地元飲食店、宿泊施設における経済的なメリットが期待されることが明らかになりました。特に、都市圏以外の自治体でこの期待感が顕著です。雇用の増加や人口の増加を期待する意見もありました。
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施策実施の状況: インバウンド促進施策を「実施している」と回答したのは74%で、具体的にはオンライン広告やSNSを活用した情報発信、観光パンフレットの制作などが挙げられました。この施策の効果を実感している自治体も多く、特に外国語対応のウェブサイトや観光案内所の設置が効果的であったとされました。
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アピールすべき観光スポット: 調査では、インバウンド旅行者にアピールする観光スポットとして、歴史的名所、イベント・祭り、街並みや商店街が多く挙げられました。これらのアピールが地域振興につながると考えられています。
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施策実施における課題: インフラや交通アクセスの整備、旅行者を受け入れる体制、費用対効果の明確化などが課題として挙げられました。都市圏以外の自治体で特にこの課題感が強いことがわかりました。
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効果測定の取り組み: インバウンド施策の効果を測定しているのは56%で、最も一般的な測定方法は訪日外国人の数でした。
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デジタルトランスフォーメーション(DX)の課題: 調査では92%の自治体がDXに課題を感じており、特に必要な知識や経験が不足していることが指摘されました。
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必要な分析データ: インバウンド施策を検討する上でどのようなデータが必要か尋ねたところ、SNSの効果分析や施策別の訪日客数、訪日客の出身国別の情報が求められました。
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職員のモチベーション: インバウンド業務に対するモチベーションについて、63%が意義を感じておりながらも、業務が難しいと感じている職員も多いことが明らかでした。特に「相談できる人がいない」という問題が多く見られました。
これらの結果は、自治体におけるインバウンド施策の現状を明確に示しており、施策の見直しや改善に向けた基盤となる重要なデータを提供しました。
アンケート調査の活用法
本アンケート調査の結果は、地方自治体においてインバウンド施策の具体的な改善や効果測定、施策の優先順位付けに役立てることができます。以下の方法で活用することが考えられます。
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施策の改善と戦略策定: 経済的なメリットや課題の洗い出しを通じて、自治体は自身の施策を再評価し、必要に応じた改善策を講じることができます。特に、インバウンド受け入れの体制を強化することやインフラ整備に向けた戦略を立てやすくなります。
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効果的なプロモーション活動: 調査の結果から、効果的な施策として挙げられたオンライン広告やSNSを活用した情報発信に力を入れることで、国内外の旅行者へより効果的にアプローチすることが可能です。また、観光スポットなどのプロモーション活動において多言語対応を強化することが求められています。
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モチベーションアップ施策の実施: インバウンド業務に対する職員のモチベーションを高めるために、定期的な研修や情報交換の場を設け、知識の充実を図ることも重要です。専門的な知識を有する人材を育成することで、職員の自己成長にもつなげることができます。
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効果測定の強化: 効果測定に関する課題を解消するために、各施策の成果を詳細に見える化し、訪日客の出身国や滞在日数、施策別の訪問数などを把握することができる仕組みを構築することが求められます。これにより、次回以降の施策の立案においてより具体的なデータを活用できます。
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データの分析と活用: 必要なデータとして挙げられたSNS効果や訪日客数などの情報を積極的に収集・分析し、施策の評価や新たな施策の立案に活用することができます。特に、DXに課題を感じている自治体は、データ分析に関する知識を増やし、効果的な施策運営を行う必要があります。
このように、本調査の結果を基に、地方自治体はインバウンド施策の全体像を再確認し、今後の取り組み方を見直すことができます。全体として、自治体のリソースを最大限に活用し、訪日外国人旅行者増加に向けた持続可能な施策の強化を進めていくことが求められるでしょう。
出典 PR TIMES