不妊白書2024〜当事者1,067人の声から見えた「仕事と不妊治療の両立」〜

アンケート調査データ

  • アンケート調査名仕事と不妊治療の両立に関するアンケート2023
  • アンケート調査実施企業NPO法人Fine
  • アンケート調査対象者不妊当事者
  • アンケート調査人数1067人
  • 配信日2024年10月17日 14時00分

アンケート調査の概要

「不妊白書2024」は、NPO法人Fineが実施した「仕事と不妊治療の両立に関するアンケート2023」を基に、1,067人の不妊当事者の声を集めて作成されたレポートです。この調査は、少子化対策と労働環境の改善を目的としており、仕事と不妊治療を並行して行うことの現状を明らかにするために行われました。調査の内容は、当事者が直面している悩みや課題、企業のサポート体制の現状についての情報を集約・分析したものです。

本書の目的は、当事者だけでなく、職場の上司や同僚、企業の経営者、人事担当者、広く社会全体に不妊治療への理解を深めさせ、相互支援の実現に寄与することです。調査結果は、2018年に実施した同様のアンケートとの比較を含めて、企業内のサポート制度や職場環境の変化を評価しています。

調査の方法としては、オンラインアンケートが用いられ、回答者には主に不妊治療を受けている人々が対象となりました。調査項目には、不妊治療の経験、治療と仕事の両立状況、職場における理解度や支援の受けやすさ、経済的負担などが含まれています。これにより、当事者のリアルな声が収集され、実情を反映したデータが得られました。

アンケート調査の結果

調査の結果、いくつかの重要なポイントが明らかになりました。まず、2018年と2023年の比較から、不妊治療を受ける当事者が企業内で直面している課題は依然として存在していることが浮き彫りになりました。特に、以下のような結果が得られました。

まず、企業のサポート制度の進展が確認されました。具体的には、休暇制度やフレキシブルな労働時間を導入する企業が増加している一方で、これらが実際に利用できる環境が整っているかどうかは別の問題として残っています。調査によれば、当事者の中には、企業が提供するサポート制度を利用しにくいと感じている人が多く、これが治療と仕事の両立を困難にしている一因となっています。

次に、不妊治療と仕事の両立が難しい主な理由として、周囲の理解不足が挙げられています。不妊や不妊治療に対する偏見が根強く残り、他者に相談できにくい環境が形成されていることが、多くの当事者から指摘されています。このような背景から、職場でのコミュニケーションやサポートが不足している現状が確認され、改善が求められています。

また、調査では、不妊治療を理由に退職を余儀なくされる事例が一定数存在することも明らかになりました。2018年の調査では、不妊治療と仕事を両立できず退職した人が5人に1人いたのに対し、2023年の調査では改善傾向が見られたものの、依然として退職を選ばざるを得ない当事者が存在していることが示されました。

アンケート調査の活用法

本書「不妊白書2024」は、さまざまな関係者に向けて活用されることが期待されています。まず、企業の経営者や人事担当者は、この調査結果を基にして自社のサポート体制や職場環境を見直し、不妊治療を受ける従業員に対する理解を深めるための施策を打ち出すことが重要です。具体的には、以下のような活用法が考えられます。

まず、職場での意識啓発活動を行うことが挙げられます。調査結果から、不妊治療に関する正しい知識や理解が不足していることが明らかになったため、社内でセミナーやワークショップを開催し、従業員全体に情報を提供することが有効です。このような活動を通じて、従業員同士のコミュニケーションを促進し、理解を深めることができます。

次に、企業においては具体的なサポート制度の整備が必要です。例えば、不妊治療を受ける従業員に対して、特別な休暇制度やフレキシブルな勤務時間を導入することが考えられます。また、相談しやすい環境を整えるために、心のサポートを行う専門の窓口やカウンセラーを設置することも重要です。

さらに、社会全体に向けて不妊治療に関する啓発活動を行うことで、偏見や誤解を解消していくことも求められています。このような取り組みを通じて、労働環境の改善に向けた正しい理解が広まり、不妊治療を受ける当事者の支援が広がることが期待されます。

以上のように、「不妊白書2024」は、当事者の声を集めた貴重なデータを提供しており、企業や社会が不妊治療に対する理解を深め、改善策を講じるための貴重なリソースとなるでしょう。勤労者が安心して治療に取り組めるような社会を築くために、本書の内容の活用が望まれています。

アンケート調査のプレスリリース本文はこちら
出典 PR TIMES

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