アンケート調査データ
- アンケート調査名賃金のデジタル払いへの対応状況アンケート
- アンケート調査日2024/10/4
- アンケート調査媒体インターネット調査
- アンケート調査実施企業株式会社帝国データバンク
- アンケート調査対象者企業
- アンケート調査人数1479人
- 配信日2024年10月16日 10時00分
アンケート調査の概要
本アンケート調査は、働く人々に対する賃金の支払い方法として「デジタル払い」がどのように受け入れられているのか、企業の対応状況を詳しく調べることを目的として実施されました。調査は2024年10月4日から10日までの期間に、帝国データバンクがインターネット調査として行いました。応募した企業の中から有効回答を得た数は1,479社にのぼります。
賃金のデジタル払いは、政府が2023年4月に解禁した新しい給与支払いの方法であり、従業員が給与の一部をデジタルマネーで受け取ることが可能になります。この背景には、企業のコスト削減や従業員満足度の向上といった目的があり、特にキャッシュレス経済の進展に伴い、その導入が期待されています。しかし、実際に導入する企業の割合はどれくらいで、その理由は何か、さらには企業側の懸念や期待についても詳しく把握することが本調査のポイントになります。
調査結果からは、賃金のデジタル払いを導入する予定がない企業が約9割という驚くべき統計が浮かび上がり、その理由についても多くの貴重な意見が集まりました。
アンケート調査の結果
調査結果を観察すると、「賃金のデジタル払いについて導入予定はない」とする企業が88.8%に達しており、非常に高い比率であることが分かりました。支持を得ている企業はわずか3.9%であり、これはほぼ全体の中で少数絶対という状況です。「言葉も知らない」と回答した企業は1.6%、「分からない」は5.6%であったことも加味すると、全体として企業の間での関心や理解が不足していることが示唆されます。
導入に前向きな企業が少ない中で、振込手数料の削減が53.8%を占める理由として最も多く挙げられ、次いで従業員の満足度向上が42.3%、事務手続きの削減が32.7%というデータが浮かび上がりました。これらは、新しい方法がもたらす潜在的な利点を示すものである一方、企業が実際にどれだけ成功した効果を期待しているかも垣間見えます。
反対に導入予定がない理由として、「業務負担の増加」が61.8%と最も多く、次に「制度やサービスに対する理解が十分でない」が45.0%、セキュリティに関する懸念が43.3%となっています。業務負担の増加については、デジタル払いと従来の口座振込の併用により新たな事務的負担が生じるなど、従業員へのスムーズな移行が難しいとの声が挙がりました。この調査から、企業の多くが新しい制度に対する具体的な情報や理解に不足していることが明らかになりました。
また、企業からは「振り込み処理が複雑になる」「セキュリティが十分とは思えず従業員も不安に思っている」という意見も見受けられました。特に、従業員がデジタル払いに慣れていない場合や、導入にコスト面の懸念が影響していることが伺えます。
アンケート調査の活用法
この調査結果は、賃金のデジタル払いを導入しようとしている企業にとって、非常に重要な情報源となります。具体的には以下のような活用法が考えられます。
まず第一に、企業の経営者やマーケティング担当者は、デジタル払いの現状についての理解を深めるために、このデータを利用することができます。特に、業務負担やセキュリティリスクに関する懸念の声を把握することで、企業は導入に向けた準備や対策を講じる上で重要な指針となります。
次に、導入を検討する企業は、他社の意見や経験を参考にし、自社における導入の可能性を検討できます。デジタル払いの利点をアピールするだけでなく、実務上の問題点や懸念に対処できる体制を整えることが求められます。特に、現行の給与支払い方法とデジタル払いとの違いや、導入後の業務フローの明確化が、大きな課題となるでしょう。
また、今後新たにデジタル払いを導入した際のコミュニケーション戦略も重要になります。従業員に対して、デジタル払いに関する詳細な情報を提供し、セキュリティ問題の解決策や疑問点の解消を図るべきです。これにより、従業員の不安を和らげ、導入時期についての合意形成を図ることができるでしょう。
さらに、政府や関連機関もこの調査結果を基に、賃金のデジタル払いを普及させるための施策や情報提供を強化する方向性が求められます。デジタル払いのメリットとともに、運用上の注意点や安全性に関する情報を徹底的に周知することで、企業側の理解を促進し、導入のハードルを下げることが期待されます。
結果として、本アンケート調査は、賃金のデジタル払いを導入する上での課題や期待を明らかにする重要なデータを提供しており、ビジネスマンや法人経営者が新しい支払い方法を採用するための具体的なステップを考える際の貴重な資源となることでしょう。
出典 PR TIMES