モニタリングサイト1000里地調査2005-2022年度 とりまとめ報告書 「チョウや鳥たちが急減、気候変動の影響も」

アンケート調査データ

  • アンケート調査名モニタリングサイト1000里地調査
  • アンケート調査日2005/1/1
  • アンケート調査実施企業日本自然保護協会(NACS-J)
  • アンケート調査対象者全国の里山市民調査員
  • アンケート調査人数5700人
  • 配信日2024年10月1日 14時00分

アンケート調査の概要

「モニタリングサイト1000里地調査」は、2005年から2022年まで全国を対象に生物多様性の状態を把握するための調査です。この調査は、日本自然保護協会 (NACS-J) と環境省が主催しており、対象としているのは里山生態系におけるチョウや鳥類、植物、そして水環境などです。調査は市民によって行われ、全国325か所の調査サイトから得られたデータに基づいています。このアンケート調査により、特に「普通種」と呼ばれる身近な生物の急激な減少が確認され、気候変動や生息環境の変化が影響を及ぼしていることが明らかとなりました。

調査の目的は、生物多様性の変化を定期的にモニタリングし、地域生態系の理解を深め、その保全に向けた施策に役立てることです。調査には、種の記録や生息環境の評価、気候変動の影響に関するデータ収集が含まれています。特に、アンケート調査によって各調査サイトの管理状況や生物の個体数の際に影響を与える要因を分析することが目指されています。

アンケート調査の結果

アンケート調査の結果として最も注目すべきは、チョウ類や鳥類の個体数が著しく減少していることです。特に、チョウ類については評価対象の103種中34種が10年あたり30%以上もの減少を示しました。さらに、鳥類も106種中16種が同様の減少率を示し、これらの種の多くが「普通種」と呼ばれる身近な種類であることが報告されています。このような生息種の急激な減少は、環境省の絶滅危惧種の判定基準を満たす数値でもあり、日本における生物多様性の危機的状況を示しています。

また、生息環境に着目した解析では、開けた環境(農地、草原、湿地など)に特に生息する昆虫類や鳥類、植物が減少傾向にあることが確認されました。これは、日本国内での気候変動の影響が明らかになったことに関連しています。例えば、最近の気温上昇が生物種の記録数や生息地に影響を与えていることが示唆されています。特に農地や湿地は、管理放棄された地域が増加しており、これが生物多様性の損失を加速させている要因と考えられています。

加えて、地元市民による生物多様性保全活動も調査結果に取り入れられています。その結果、調査サイトの約6割で生物多様性の向上に寄与する活動があった一方、資金不足が課題となっていることも明らかとなりました。

アンケート調査の活用法

このアンケート調査の結果は、生物多様性保全に資する多様なアプローチに活用可能です。まず、調査によって得られたデータは、地域ごとの生物多様性戦略の策定や政策形成に重要な役割を果たします。特に、生物多様性国家戦略や地域レベルの生物多様性戦略に基づいて、具体的な施策や行動計画を立てる際の根拠となるデータとして位置付けられます。

次に、調査結果を地域の関係者や市民と共有することが重要です。市民は調査活動に直接参加しているため、彼らが取得した知識や経験を活かすことでより効果的な保全活動が可能となります。本調査の成果を広く周知させることで、保全活動への理解や参加意欲を促進し、市民主体の取り組みが強化されます。

さらに、調査結果は企業のCSR活動(企業の社会的責任)やESG投資(環境・社会・ガバナンス)戦略においても活かされるでしょう。企業が生物多様性の保全に貢献するプログラムを構築する際、その基盤となるデータとして利用できるため、双方向的な利益の創出に寄与します。また、調査結果を基にした市民活動の事例を企業に提供することで、企業が模範事例を参考にしたり、寄付やボランティアを通じた支援を考える契機となるでしょう。

最後に、研究機関や大学においても、本調査のデータを基にした科学的研究や地域に対する影響評価などが進められることが期待されています。これは、環境保全活動や政策提言の根拠を強化し、さらなる理解を深める材料となるため、持続可能な地域社会の実現に寄与します。

このように、「モニタリングサイト1000里地調査」によって得られたデータや分析結果は、さまざまなステークホルダーによって利用され、生物多様性の保全に向けた市民活動や政策形成において重要な役割を果たすことが期待されています。

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出典 PR TIMES

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